専修学校自由高等学院
宇部陽菜
学校には、授業やホームルーム、学校行事など、生徒の成長を支えるために日々さまざまな業務に取り組む教職員がいます。その一方で、仕事だけでなく、自分自身の目標に向かって挑戦を続け、その経験を教育にも生かしている先生もいます。
今回の「いいモノはいい!」では、2024年から本格的にフィジーク競技へ挑戦し、大会出場を目指して日々トレーニングを続けている野﨑先生にお話を伺いました。
フィジークへの挑戦を通して得られたものは、体力だけではありません。仕事への向き合い方や、生徒との関わり方、そして周囲とのつながりにも大きな変化があったそうです。

写真:野崎先生
「努力した分だけ、結果は自分に返ってくる」
フィジーク競技を始めたきっかけを教えてください。
高校生の頃から体を鍛えることは好きでした。当時はボート競技に取り組んでおり、筋力トレーニングは競技力向上のための補強として行っていました。フィジーク競技への挑戦も考えたことはありましたが、その頃はボート競技への思いが強く、その道を選びました。
本格的にフィジーク競技へ挑戦し始めたのは2024年です。前職の体育教室でお世話になった先輩がフィジーク大会へ出場しており、その姿を見て「自分も挑戦してみたい」と思ったことがきっかけでした。
「夢中になれる時間がある」
トレーニングを続けられる理由は何でしょうか。
トレーニング中は、そのことだけに集中できます。余計なことを考えず、夢中になれる時間なんです。
また、自分が努力した分だけ結果が返ってくるところにも魅力を感じています。外部の要因ではなく、自分自身の努力や実力が結果につながる競技なので、負けず嫌いな自分にはとても合っています。
現在は週6日ほどトレーニングを行い、タンパク質や脂質を意識した食事管理も続けています。
一番苦しいのは、自分で決めた食事量を守れなかった時です。反対に、一番楽しいのは筋トレをしている時間です。今までできなかった重量に挑戦し、「もう無理かもしれない」というところからさらに一歩踏み込めた時には、大きな達成感があります。
「積み重ねた経験は、仕事にも生きている」
フィジーク競技を通して学んだことが、学校で役立っていると感じることはありますか。
まずは時間の使い方ですね。トレーニングを続けるためには、自分で時間をつくらなければいけません。その習慣が身に付いたことで生活リズムが整い、食事や睡眠も意識するようになりました。トレーニングによる心地よい疲労でよく眠れるようになり、仕事にも集中できています。メンタルも安定しましたし、体育教員として、生徒に負けない体力や運動能力を維持できていると感じています。
また、筋トレでは限界に挑戦する場面も多くあります。その経験から、「仕事も、もう一歩頑張れるのではないか」と前向きに考えられるようになりました。
そして何より感じるのは、「積み重ねたこと以上の成果は出せない」ということです。
授業も同じで、突然素晴らしい授業ができるわけではありません。日々の準備や経験の積み重ねがあるからこそ、生徒に伝わる授業になります。
筋トレも仕事も、自分が行動しなければ何も変わりません。積み重ねた分だけ経験となり、自分自身の力になっていくと思います。
以前は無駄だと思っていたことも、「どこかで必ずつながっている」と考えられるようになりました。
「挑戦が、新しいつながりを生む」
フィジーク競技を続けていて、嬉しかったことはありますか。
体の変化を褒めてもらえることも嬉しいですが、一番印象に残っているのは、筋トレをきっかけに、これまであまり接点のなかった方とも自然と会話が生まれるようになったことです。共通の話題があることで距離が縮まり、その方の人柄を知るきっかけにもなりました。
また、「先生を見て筋トレを始めました」と言ってくれた生徒が3人ほどいました。現在は放課後に、筋トレに興味のある生徒たちと一緒に体を動かす時間もつくっています。
自分が挑戦する姿を見て、新たに挑戦する人が増えることは、とても嬉しいですね。
「一歩踏み出す勇気が、人生を変える」
生徒たちへ伝えたいことを教えてください。
実は、私は新しいことへ挑戦するのが得意ではありませんでした。
それでも周りの人に背中を押されてフィジーク大会への出場を決意し、一歩踏み出しました。その一歩が、自分の考え方や人とのつながりを大きく変えてくれました。
できなくても構いません。しかし、やらなければ前へは進めません。
小さなことでも積み重ねていけば、以前は届かないと思っていたことにも挑戦できるようになります。
だからこそ、生徒たちにも、まずは一歩踏み出す勇気を持ってほしいと思っています。
「体育を通して、心も体も健康に」
今後、学校で挑戦していきたいことはありますか。
生徒の心身の健康を整えていきたいと思っています。
昼夜逆転や授業中に眠ってしまう生徒、無気力になってしまっている生徒を少しでも減らし、「やってみよう」と前向きな気持ちを持てるよう支えていきたいです。
体育の授業では、「できるから楽しい」だけではなく、「できなくても楽しい」「体を動かすことそのものが楽しい」と感じてもらえる授業を目指したいと思っています。
編集後記
今回のインタビューを通して印象的だったのは、フィジーク競技への挑戦が、単なる趣味や体づくりにとどまらず、仕事への向き合い方や人との関わり方にも良い影響を与えていたことです。
「積み重ねた分だけ、自分の力になる。」
野﨑先生のこの言葉には、フィジーク競技だけでなく、学校生活や仕事、そして日々の挑戦にも共通する大切な考え方が込められていました。
また、自ら挑戦する姿が生徒の新たな挑戦につながり、共通の話題から新しいコミュニケーションも生まれていました。
まさに、「いいモノはいい!」。
自分自身の挑戦が、周囲へ良い影響を与え、新たな一歩を踏み出すきっかけとなる――。そんな前向きな循環を感じるインタビューとなりました。

(編集者:宇部先生)